自閉症のエコラリア 〜種類とその役割③ 遅延性エコラリア〜

遅延性エコラリアを解説します!

以前に取り上げた、エコラリアの機能と役割について、「遅延性エコラリア」がまだだったので紹介しますね〜

まだ読んでない方はコチラのリンクからどうぞ(。・∀・。)
 →→ その①「エコラリア」について
 →→ その②「即時性エコラリア」について

遅延性エコラリアとは?

エコラリアの役割について注目されだしたのは1980年代からですね。
この時に、「即時性エコラリア」に続いて「遅延性エコラリア」についても検討されています。

遅延性エコラリアに関して具体に整理された初めての論文は、


Prizant&Rydell(1984)「Analysis of functions of delayed echolalia in autistic children」,Journal of Speech and Hearing Research, volume27,183-192
です。(・・・たぶん!!)

この論文では、遅延性エコラリアについて「14の機能的分類」と整理しています。


※注意しないといけないのは、あくまで「今後の展望のきっかけ」としての位置づけであることです。ただ、エコラリアに何かしら意味があるとういことに着眼しただけで素晴らしい功績であることには違いありません…と、ぺぇさんは思います。


下記①〜⑭はPrizant&Rydell(1984)がまとめたものに、ぺぇさんが適当に和訳と簡単な内容をつけました。あんまり英語が得意でないので、詳しく知りたい人は原著論文を読んでくださいね(。・∀・。)

非相互作用的な遅延型エコラリアの機能的分類

 ①Non focused:「無焦点型」
  その名のとおり、意図などが明確でないもの。

 ②Situation Association:「場面連想」
  その場面に関連して出たエコラリア

 ③Rehearsal:「リハーサル」
  「やりとり」よりも「リハーサル」として

 ④Self-direcvtive:「自己指示」
  自分の行動の調整などに役立っている

 ⑤Label(non interactive):「相互作用的のないラベル」
  ジェスチャーなどの非言語的なはあるが、他者へ向けた発語ではない。


相互作用的な遅延型エコラリアの機能的分類

 ⑥Turn-taking:「会話の順を満たすもの」
  会話のやりとりの順を満たすもの

 ⑦Verbal completion:「終結」
  やりとりの終わり。   
 
 ⑧Label(interactive):「相互作用的なラベル」
  指差しなどが付随し、具体な対象や行動に言及する兆候となる。

 ⑨Providing information:「情報伝達」
  聞き手に情報を知らせようとする作用がある。

 ⑩Calling:「呼びかけ」
  人の注意を得ようとしする。

 ⑪Affirmation:「肯定」
  おもちゃを受け取る時など、yesの意として伝える
 
 ⑫Request:「要求」
  食べ物・物など獲得のため。

 ⑬Protest:「抗議」
  不満意思の現れとして。とめようとする身体的な試みや感情的なトーンの発声が伴うことが多い。

 ⑭Directive:「指示」
  周囲の人にやってもらう目的で発せられる。


 1984年の論文ですが、どうでしょうか?みなさんの知っている、聞いたことのある遅延性エコラリアもどれかに当てはまりますでしょうか?こうしてみると、気がつくこともあるのではないでしょうか(。・ω・)ノ

興味のある方は原著論文をご一読ください。①〜⑭の説明が(英語で)書いてあります。


一方、国内の遅延性エコラリアの研究は、前にも書きましたがぺぇさんの知る限りはほとんど無いような気がします…ぺぇさんが知らないだけ??海外では多いのかな…??

やっぱり即時性に比べて分かりにくいからかなぁ・・・(ー_ー;)
ぺぇさんは興味津々なんですけどね_(┐「ε:)_

せっかくのなので、ぺぇさんの遅延性エコラリアの思うことも書いときますw

よく遅延性エコラリアは、印象的なCMのフレーズ、歌なんかが好まれますね。
他にも絵本のフレーズや、家族の口ぐせなんかや、電車ホームの音楽なんか様々です。


子どもの言語能力なんかでも大きくエコラリアの出方も違うと思いますが、結構、場面であったり、その時の状況や会話の流れにあったものも多いと感じています。


「決まり文句」のように使っている遅延性エコラリア(…と呼んでいいのかは「?」ですが)もありますね(。・∀・。)


あんまり見慣れないものを見た時は必ず、「うわーーー!なにこれーーへぇーーー!」という決まり文句(場面が違っても語順なども全く同じ)を発する自閉症の子どもも多いですね。こういうのは状況に見合っているので、分かりやすいです。


(コレをエコラリアと呼ぶには議論がありそうですが、こうした必ず決まった語順で言う子どもは、よく観察すると、この場面には「この決まり文句」というのが多く隠れているような気がします。)


怒り爆発にともない、決まった歌を歌いだして怒りだす子どもとも出会ったこともあります。まさに上の⑬のように、地団駄を踏みながら歌で怒り爆発を表出していました。

あともう一つだけ!!

普段の私達の生活の中でも、気分で鼻歌を歌う時とかあるかなと思うんですけど、無焦点型って、案外そんなものもあるんじゃないかな…と思ったりもします。
鼻歌に何でもかんでも意味が…と言われたら、無いですよね。子どもたちもそんな気分でエコラリアが出ることもきっとあるのではないかと思います(。・∀・。)


まとめ

即時性の時のも書きましたが、ちょっと意識するだけで、エコラリアの見方が全然変わってくると思います。遅延性の14の役割も、その「どれに当てはまるか」を考えるよりも、なんとなく役割があることを知った上で「何か伝えようとしてくれたのかな?」と考えることの方が大切だと思います。

もしかすると、エコラリアを通して子どもの新しい一面に気づくことがあるかもしれませんよ(。・ω・)ノ

下は関連する記事リンクです。もし読んでないものがあればクリックしてくださいね。

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 ぺぇさんのエコラリア

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